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PSYCHO-PASS サイコパス2 10話 文字起こし [PSYCHO-PASS サイコパス]

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PSYCHO-PASS サイコパス2 第10話「魂の基準」

朱ちゃんの推論部分をじっくり見返したかったので、文字起こしをしました。


●アバン
【地下鉄管制室】
(アナウンス)電車が参ります。お下がりください。
(管制官)  走行中のA1971が急激に加速。
       コントロールできません。
(主任)   暴走?
(管制官)  このままでは数分で前を走る列車と衝突します。
(主任)   全ての運行列車を緊急待避。
       乗客の避難誘導を急げ。
(管制官)  各列車を待避区画へ誘導。
(主任)   よしポイントを戻せ。
(管制官)  信号受け付けません!
(主任)   なっ…!
(主任)   A1971が待避区画に!?

【地下鉄車内】
(鹿矛囲)   始めよう。
(アナウンス) 車両点検のためしばらく停車いたします。
        誠に申し訳ありませんがそのまま車内でお待ちください。
(ドミネーター)「デコンポーザー対象を完全排除します」

【公安局・分析室】
(志恩) 列車が待避中の地下エリアで排水施設が破壊された。
(六合塚)暴走させ全列車を誘導。
     隣接エリアの汚染水を利用し孤立させた。
(宜野座)シェルターのおかげで水没は免れているが…。
(志恩) 排水できない以上乗客の脱出は不可能よ。
(宜野座)自分たちごと閉じ込めた…。
     その狙いは何だ?

【公安局・局長室】
(禾生) 国交省を骨抜きにし過ぎたわね。
     鉄道の隣接エリアが浸水したままとは…。
     そう…。
     彼らが再び私たちに取って代わろうとしたときのために不祥事のネタを残していたわけね。
     おかげで乗客500人余りが鹿矛囲の人質になったようよ。
     目的?まさか。
     地獄の季節の再現だけで満足する程度ならとっくに処分できているわ。

【三係・移動中の車内】
(堂本)この人数…。
    三係だけじゃ処理できないぞ。

【公安局・刑事課1係】
(東金)どこへ行こうというのです?
(朱) 緊急事態です。
    即時状況の分析。作戦の立案を。
(東金)あなたはこの事件に関わることはできない。
    肉親が人質になった時点で。
(朱) それを判断するのは監視官である私です。
(東金)これは禾生局長のお考えです。
(朱) そこを…どいてください。

【公安局・廊下・自販機前】
(美佳)私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は…。

【公安局・刑事課1係】
(東金)《そうだ。自分のせいで大切な存在が失われる苦しみを味わえ》
    《黒く染まれ常守朱》


●Aパート
【地下鉄車内】
(ドミネーター)「犯罪係数148執行対象です」
(銃声)
(ざわめき)
(悲鳴)
(銃声)
(男性)ぐわっ!
(鹿矛囲)300を超えそうな者からパラライザーで意識を奪え。
(銃声)

【一係・移動中の車内】【公安局・エレベーター内(朱)】
(六合塚)乗客へ無差別に発砲!?何てことを…。
(志恩) 頼んだわよ。
     朱ちゃんが局長命令で待機扱いなんだから。
(美佳) 《そう。私しかいないんだ》
     《私が一係のトップなんだ》
     《大丈夫。私はシビュラの意思に従っただけ》
     《サイコパスが濁るわけない》
(雛河) か…鹿矛囲ってドミネーター効かないのにど…どうやって…。
     だからって出動しないわけにはいかないでしょ。
(宜野座)せめて鹿矛囲の目的が分かればな。
(美佳) 鹿矛囲の目的は東金財団への報復です。
(美佳) 今回も何らかの形でつながっているはずです。
(朱)  確かに喜汰沢の事件も立てこもり施設も東金財団につながる。
     でもそれを報復だとする根拠は?
(美佳) これです。
     東金財団が鹿矛囲の手術を推進しました。
     財団の利益のため臨床実験に利用したんです。
(朱)  手術…脳の多体移植。
(美佳) その経緯から鹿矛囲は東金財団に恨みを抱いたと推測しました。


【地下鉄車内】
(柴崎)飛んでる飛んでる。
(柴崎)これだけ飛ばせば…。

【公安局・局長室】
(禾生) これは…。
     やはりそうきたわね。

(鹿矛囲)《ドミネーターが捉えた情報によって罪に応じた裁定が必ず下される》
     《これだけ絶え間なく一挙に動作すればデータは膨大となり
      通常の処理では追い付かなくなるはず》

     《そうなったとき使用されるのがネットワークに現れるバイパス経路》

(禾生) バックアップのデータ経路はセキュリティーが一段劣る。
     それを使わせるのが目的というわけね。

【地下鉄車内】
(柴崎) バイパスつかみました。
     これなら何とか。
(鹿矛囲)そのまま続けてくれ。

(禾生)ドミネーターを集めていたのはシビュラシステムの位置を探るため。
    そうなのね桐斗君。

【公安局・局長室】
(禾生)君には待機を命じたはずだが?
(朱) そんな悠長なことを言っている状況ではないはずよ。
(禾生)そうか。
    ならば別の任務を与えるとしよう。
(朱) 鹿矛囲桐斗の暗殺。
(禾生)そのとおりだ。
(朱) やはりそう…。
(禾生)何?
(朱) 今までに起こした事件の性質や地獄の季節という接点を考慮すれば
    鹿矛囲の目的が東金財団ではないことは明白。
    彼が問うているのは色。
    その相手はシビュラ。
    鹿矛囲の始末を急ぐのは今まさに彼がシビュラに触れようとしているから。
(禾生)相変わらず余計なことを考えるのが好きだな。
    君の推測どおりこのままいけばあと1時間もしないうちにやつは目的を果たすことだろう。
    むろんそんなことを許すつもりはない。
    現場に先行した三係には犯人が立てこもっている区画の頭上に爆弾を設置するよう指示してある。
(朱) 何を考えているの!?
    あそこには500人以上の人質がいるのよ!
(禾生)閉鎖空間で一方的に狩られる側となった人間が    サイコパスをクリアに保てる可能性は極めて低い。
    すでにほとんどが潜在犯だろう。
だからって見殺しにしていいわけがない。
こんなふざけた作戦!決定事項なのだよ。
(禾生)そして君の任務でもある。
    起爆の指揮を執れ。
    君の手で終わらせろ。
(朱) しらじらしい…。
    鹿矛囲を殺したいだけでしょう。
(禾生)社会とシビュラを守るためだ。
    鹿矛囲による秩序崩壊を止めねばはるかに多くの犠牲が出る。
    それと…今しがた残念な知らせを受けてね。
    君の祖母常守葵の遺体が倉庫街で発見された。
    拘束された状態で撲殺されたようだ。
    むごたらしい…犯行だよ。
(朱) ハァ…ハァ…。
(禾生)最後の引き金は君に委ねよう。
    我々の住むこの社会を守りたまえ。
    信頼しているよ、常守監視官。


(東金)《鹿矛囲を殺せ常守朱》
    《己の無力さを思い知れ》
    《自分を取り戻すための殺意を肯定しろ》
    《そうすれば必ず黒く染まる》


【公安局・刑事課1係】
(朱) ハァ…ハァ…。
    ハァハァハァ…!あああーっ!!ああ…ハァハァ…。
(狡噛)殺すのか?やつを。

pp2_10-1.jpg


●Bパート
【地下鉄事件現場・シェルター外】
(美佳) 爆破!?それに東金財団の関連施設は警戒の必要なしって…。
     そんな命令私聞いてません!
(堂本) こちらを最優先だ。
     一係は指示があるまで待機を。
(美佳) そんな…。
(宜野座)一刻を争う状況だというのにどうなってるんだ!?


【公安局・刑事課1係】
(朱) 分かりません…。
    でもそうすべきなのかも。
(狡噛)らしくないな。
    あんた言ったよな。
    「法が人を守るんじゃない人が法を守るんだ」って。
    それを信じてるからあんたは俺を止めようとしたんじゃないのか?
(朱) そうでした…あのときは。
(狡噛)まっ俺が言えた義理じゃないか。
(狡噛)シビュラに鹿矛囲は裁けない。
    でも鹿矛囲を止めなくちゃいけない。
    もう手段がないんです。
(狡噛)違うな。
    もう手段がないんじゃない。
    今は手段がないだけだ。
    可能性のピースはもう揃ってるはずだ。
    あんたがためらっているだけで。
(朱) 失敗は許されない。
    でも…。
(狡噛)賭けてみてもいいんじゃないか?負けるなよ。
(朱) フフ…。
    ありがとうございます。


【公安局・取調室】
(雑賀)お前…。
(朱) 桒島浩一。
    あなたに頼みがある。


【地下鉄車内(鹿矛囲)】【移動中の車両(朱)】
(朱)  鹿矛囲桐斗ね?私は公安局刑事課一係所属常守朱。
(鹿矛囲)あっ…。
     フッ。
     浩一はどうしてるかな?
(朱)  私の話を聞いて協力的になってくれたわ。
     シビュラは乗客ごとあなたを葬る気よ。
(鹿矛囲)その前に出口は見つかる。
(朱)  その場合全ての監視官および執行官があなたの前に立ちふさがるでしょうね。
(鹿矛囲)僕がそれを恐れるとでも?
(朱)  鹿矛囲桐斗…、
     人質を解放するなら私があなたの望みを叶える。
     地下のマップデータを送ったわ。
     目印の地点まで来なさい。
     そこで…。
(ノイズ)
(禾生) 何を考えている?
(朱)  全能者のパラドクス。
     鹿矛囲の目的はシビュラシステムを裁くこと。
     あなたたちはそれを受け入れるべきよ。
     それが鹿矛囲を裁くことにもつながる。

     あなたたちは免罪体質者という裁くことができない例外を取り込むことで
     完全な裁きを実現させてきた。
     しかし新たな例外が生まれた。

     個人ではなく集合体として形をなす鹿矛囲。
     彼を裁くには彼を成り立たせている概念をシビュラが認める他ない。
(禾生) 君は何を口にしているのか分かっていない。
     あれを裁くには集合体としてのサイコパスを計測する必要がある。
     だがそうなれば…。
(朱)  集合体であるシビュラも裁きの対象になる。
     それが彼の狙いだった。
     自ら社会の脅威となることで集合的サイコパスを認めざるを得ない状況をつくり
     あなたたちをパラドクスに追い込んだ上で裁く。
(禾生) ならば余計にやつをシビュラに近づけるわけにはいくまい。
(朱)  そして裁くことなく彼を処分するの?
     自らの完全性を否定して。
(禾生) 君は目先の目的にとらわれ事の重大さを理解してない。
     集合的サイコパスを認めた社会がどのようなものになるかを。
(朱)  個人個人がクリアでも集団として裁かれる可能性がある社会。
     そのリスクは理解しているわ。
     でも今まで目を背けていたその問題を直視することは
     あなたたちの進化にもつながるはず。

     逆にこの問題から目を背け鹿矛囲の処分という逃避を選ぶなら
     あなたたちに未来はない。
(禾生) 君のご託は聞き飽きた。
     独走する気なら君の監視官権限を剥奪する。
     君をこの社会から末梢することも考えねばな。
(朱)  あなた個人の見解はどうでもいいと言っているの東金美沙子!
     シビュラシステム、あなたたちがこの社会に存在を許されている理由は
     平等で完璧な裁きを行えるからよ。
     その完全性にほころびが生まれた今、
     あなたたちの存在価値そのものが揺らいでいるといっていい。
(禾生) 知ったふうな口を…。
(朱)  あなたたちがこの社会に必要であり続けるため何を選択するべきか
     全員でじっくり考えることね。


【地下鉄事件現場・シェルター外・三係】
(堂本)本当によろしいのですね?
(禾生)構わんやりたまえ。
(兵頭)了解。
    會川の敵だ!死ね!

(兵頭)どういうことだ!?起爆しない。
    ぐっ!
(酒々井)公安に爆薬なんて配備されない以上使うとなれば
     事件を通じて手に入れた物を流用するしかない。

     この数カ月で爆弾が絡んだ事件は一つだけ。
     喜汰沢の爆弾はこちらで優先的にコントロールできるようにしてあるの。

     ねっすてきでしょ?こんなふうに何もかも見通せるからこそ
     鹿矛囲はみんなをクリアにしてあげられるのよ。
     あとは公安をここに縛り付けておくだけ。

     うっ…!ハァハァ…。
     もう少しで鹿矛囲が世界をクリアにしてくれる!


(志恩)水位が下がった!別の排水施設を利用したんだわ。

【地下鉄構内・通路】
(六合塚)人質が解放された!?
(宜野座)分かった。
     直ちに犯人グループの確保に向かう。
     霜月監視官!
(美佳) そんな…違う…。
     私のせいじゃない…こんなの…。
(宜野座)監視官!何をしている!
(雛河)あ…あれ?
(六合塚)どうしたの?
(雛河)と…東金執行官は?
(美佳)あっ!

(東金)監視官。
    禾生局長からあなたがここに来ることを聞きました。
    俺も同行させてください。
(朱) なぜ?
(東金)もう気付いているはずです。
    東金美沙子と鹿矛囲の関係を。
    俺の母があの怪物を生み出した。
    その責任は息子の俺が負わねばならない。
    たとえこの手を血で汚すことになっても…。
(朱) 殺すつもりですか?鹿矛囲を。
(東金)狡噛執行官ならそうしたはずだ。
    行きましょう。監視官。
(朱) フフ…。
(東金)ん?

(朱) お芝居はもうやめませんか?東金さん。
    あなたの母親が鹿矛囲に行った脳の多体移植。
    私はそれによく似たシステムを知っている。
    もちろん彼女も知っていたことになる。
    でもこの社会でそれは許されないこと。
    免罪体質者を除いて。
    東金美沙子が免罪体質者ならシステムに組み込まれているはず。
    そして今回の件で責任者として活動を強いられている可能性が高い。
    つまり今禾生局長の皮をかぶっているのは東金美沙子。
(東金)監視官。
    俺には何の話かさっぱり…。
(朱) あなたの経歴データを見せてもらいました。
    隠匿していた本当のデータを。
    きっかけは霜月監視官の報告書です。
    あなたの経歴と矛盾する内容が多々あった。
    それでファイルを調べ直したんです。
(東金)なるほど。
(朱) 監視官をことごとく潜在犯に陥れてきたその経歴。
    正直信じたくなかった。
    もしくは意図してやっているわけではないと思いたかった。
(東金)雑賀先生のように?
(朱) でもあなたは違った。
    今までのあなたの言動を振り返ればだんだんと分かってくる。
    あなたがどうしたかったのか。
    私を黒く染めたかった。
    そうですね?

(鹿矛囲)彼女は君程度には染められないよ。
(朱)  鹿矛囲桐斗…。
(東金) 好都合だ。
     貴様の存在が母さんをおとしめる。
     だから…。
(ドミネーター)「犯罪係数769リーサル・エリミネーター」
(東金) 貴様は存在してはならない!
(朱)  駄目!
(鹿矛囲)散れ漆黒。
(銃声)


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